Richardson et al.(2016)によると、SNRとCNRはともにコード変調された信号における信号パワーとノイズパワーの比であるが、SNRは受信機内の相関器で計算されるもので、CNR(C/Noと表記されることもある)は(増幅前の)受信アンテナにおける値とのことだ(定義αとする)。信号もノイズも、アンテナと相関器の間で同じくらいの倍率で増幅されるので、CNRとSNRの値はほぼ同じと考えて良いとのこと。
Richardson et al.(2016)に引用されているLangley (1997)によると、C/Noは Carrier-to-Noise density Ratioの略で、ベースバンドの1 Hz帯域幅における搬送波のパワーとノイズパワーの比とされている。そして文脈を見ると、どうやら復調後に評価するようだ。CNRの名前からするとこちらの定義の方が納得がいく(定義βとする)。
一方で搬送波については、反射波が重なることで位相が変わるので、そもそも伝搬距離の違いが大きくても搬送波位相測定への影響が小さいとは言えないように思う(空気中での減衰を無視すれば)。水面の各部からの反射波のうち、無害な反射波とは、上図の2 h cosθが大きい反射波ではなく、それが波長で割り切れる反射波か、水面での反射率が小さかった反射波だろう。
タイポイントの分散は、アラインメント後のオンデマンドのバンドル調整を行うダイアログ"Optimize Camera Alignment"(カメラアラインメントを最適化)で、"Estimate tie point covaiance"(タイポイントの分散を推定する)にチェックを入れることで、計算できる。
これは何かというと、上記のような無限回の「試行」をしたとき、タイポイントが最も動きやすい方向とその動きやすさを示したものである。タイポイントの座標にはX, Y, Zの3成分あるので、X, Y, Zそれぞれに分散があるし、X-Y, X-Z, Y-Zそれぞれの間に共分散がある。それらの兼ね合いで、最も動きやすい(バラつきの大きい;不安定な)方向と動きやすさ(バラつきの大きさ;不安定さ)が決まる。このベクトルプロットは、それらの視覚的に示したものである。詳しく学ぶには、まずは2次元の「誤差楕円」について学ぶのがよいと思われる。
James, M. R., Antoniazza, G., Robson, S., and Lane, S. N. (2020) Mitigating systematic error in topographic models for geomorphic change detection: accuracy, precision and considerations beyond off-nadir imagery. Earth Surf. Process. Landforms, 45: 2251– 2271. https://doi.org/10.1002/esp.4878.